
文部科学省が公表した2025年度「英語教育実施状況調査」によると、政府が目標とする英語力水準に達した生徒の割合は、中学3年生で54.6%、高校3年生で52.4%となり、いずれも過去最高を更新しました。
しかし、政府目標である「2027年度までに60%以上」には届いておらず、自治体間の格差も大きな課題として浮き彫りになっています。
なぜ英語力は伸びているのでしょうか。地域差はなぜ生まれるのでしょうか。文部科学省の調査や学習指導要領、英語教育改革の流れをもとに、日本の英語教育の現状と今後の課題、家庭でできる英語学習のポイントまで詳しく解説します。
中高生の英語力が過去最高に、文部科学省調査の結果
文部科学省の「英語教育実施状況調査」によると、政府目標に相当する英語力を持つ生徒の割合は次の結果となりました。
2025年度 英語力到達状況
学年 判定基準 到達割合
中学3年生 英検3級相当以上 54.6%
高校3年生 英検準2級相当以上 52.4%
いずれも前年から上昇し、調査開始以降で最も高い水準となりました。
文部科学省では、生徒が外部試験を受験していない場合でも、授業や学校評価を踏まえて同等水準と判断したケースを含めて集計しています。
政府が掲げる「2027年度60%以上」の目標とは
政府は英語教育改革の中で、英語を「読む・聞く」だけでなく、「話す・書く」まで含めた実践的な運用能力の育成を重視しています。
生徒の到達目標は中学卒業時で英検3級相当以上、高校卒業時には英検準2級相当以上、2027年度までに到達割合60%以上となっています。この背景には、学習指導要領の改訂があります。小学校では英語が教科化され、中学校・高校では授業を英語中心で進めることや、4技能(読む・聞く・話す・書く)を統合的に育成する方針が進められてきました。
なぜ英語力は上昇しているのか
小学校英語の教科化
2020年度から小学校高学年で英語が正式教科となりました。以前は中学校から始まっていた英語学習が前倒しされ、早期接触が進んでいます。
外部試験の活用
英検など外部資格を学校評価に活用する自治体が増加しています。
検定受験が目標設定しやすく、学習習慣の形成につながっていると考えられています。
「話す英語」の重視
最近は暗記中心から、コミュニケーション型授業へ変化しています。
ALT活用・ICT教材導入・オンライン英会話・ペアワーク・発表活動など、こうした環境整備も、英語力向上の背景と考えられます。
地域間格差
今回の調査では、自治体間で大きな差も見られました。
中学3年生(自治体別)
さいたま市:88.9%
福井県:84.6%
横浜市:71.6%
最も低い地域との差は51.6ポイントとなりました。
高校3年生(都道府県別)
東京都:62.4%
福井県:60.7%
富山県:60.1%
地域差が生じる背景としては、英語教員配置状況・ALT配置人数・ICT環境・外部試験受験率・自治体独自予算・家庭学習環境などが指摘されています。
単純に「生徒の能力差」だけでは説明できず、教育環境の違いも大きく影響すると考えられています。
英検取得だけでは英語力は測れない
今回の調査では英検相当の基準が使われていますが、資格取得だけが英語力ではありません。本来、学習指導要領が重視しているのは実際に使える英語です。
例えば、英語で意見を伝達、情報を要約、海外の人と意思疎通、英文を論理的に書くことといった運用能力も重要になります。資格取得は目標設定として有効ですが、「資格=英語力のすべて」とは言えません。
家庭でできる英語力向上のポイント
学校だけで英語力を大きく伸ばすことは簡単ではありません。
家庭では次の3つを意識すると継続しやすくなります。
1.毎日10~15分でも英語に触れる
短時間でも継続が重要です。
2.読む・聞く・話すを組み合わせる
単語暗記だけでなく、音読やリスニングも取り入れます。
3.資格を中間目標として活用する
英検3級・準2級を目安にすると学習計画が立てやすくなります。
英語力向上と格差是正の両立が今後の課題
文部科学省調査では、中高生の英語力は過去最高を更新しましたが、政府目標の60%にはまだ届いておらず、自治体による教育環境の差も見えています。今後は、学校改革だけでなく、家庭・地域・民間教育を含めた支援体制づくりが重要になります。
英語教育は「受験対策」だけではなく、将来の学習や仕事、国際社会との接点につながる基礎力として、ますます重要性を増していくでしょう。
参考資料
・教育振興基本計画




