小学3年生からの英語授業とは?文科省の方針・目標・内容をわかりやすく解説

「うちの子、3年生から英語の授業が始まるけど、何をするの?」「小学校英語って本当に必要なの?」そんな疑問をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。

2020年度から全面実施となった新学習指導要領では、小学校3・4年生に「外国語活動」が正式導入されました。文部科学省の方針に基づき、子どもたちは英語を「教科」として学ぶ前に、まず英語に「慣れ親しむ」段階を丁寧に踏むことになっています。文科省の通達・学習指導要領解説をもとに、小学3年生からの英語授業の内容・目標・ねらいをわかりやすく解説します。

 

なぜ小学3年生から英語が始まったのか?

 

グローバル化と「生きる力」の育成

文部科学省は、グローバル化が急速に進展する現代において、外国語によるコミュニケーション能力はこれまでのように一部の業種や職種だけでなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされると明示しています(小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編)。

かつて(平成20年改訂)は、英語の授業は小学5・6年生から始まっていましたが、その実施後の検証で、いくつかの課題が浮かび上がりました。

音声中心で学んだことが、中学校で文字学習に移行する際にスムーズにつながっていなかったとか、日本語と英語の音声の違いや、文構造の理解に課題がある、高学年は抽象的な思考力が高まり、より体系的な学習が求められるなどです。

これらの課題を踏まえて、小学3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「外国語(教科)」という二段階構成が導入されました。段階的に英語に慣れ親しませることで、中学校での本格的な英語学習への接続をスムーズにするねらいがあります。

 

文科省が定める「外国語活動」の3つの目標

学習指導要領では、外国語活動の目標として「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの資質・能力を育成することが明記されています。

 

1.知識及び技能:英語の音声・表現に「慣れ親しむ」

外国語を通して、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。(小学校学習指導要領 第4章 外国語活動)

「覚える」ではなく「慣れ親しむ」がキーワードです。英語特有のリズムやイントネーションを歌やチャンツを通じて体で感じ、日本語との違いに気づく体験が重視されています。

 

2.思考力・判断力・表現力等:自分の気持ちを「伝え合う力の素地」

身近で簡単な事柄について、外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。(小学校学習指導要領 第4章 外国語活動)

3・4年生の段階は「素地(もとになる力)」を養う時期。好き・嫌い、色、数など身近なテーマについて、英語で自分の気持ちを相手に伝える体験を積み重ねます。

 

3.学びに向かう力・人間性等:「主体的に使おうとする態度」を育てる

外国語を通して、言語やその背景にある文化に対する理解を深め、相手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。(小学校学習指導要領 第4章 外国語活動)

英語を使ってコミュニケーションすることへの興味・意欲・積極性が、中学以降の英語学習の土台となります。「間違えてもいい、伝わることが大切」という体験を積むことが重要とされています。

 

3・4年生で実際に何を学ぶのか?

文科省が示す3年生の年間指導計画例(素案)では、次のような単元構成が想定されています。

たとえば、テーマや 主な表現例 は次のとおりです。

Hello, friends! | あいさつ・名前 | Hello. I’m (name). / Goodbye.
How are you? | 体調・気持ち | I’m happy. / I’m tired.
How many? | 数(1~20) | How many? / That’s (10).
I like blue. | 好き・嫌い(色) | I like (blue). / Do you like (blue)?
What do you like? | 好き・嫌い(スポーツ・食べ物) | What do you like? / I like (soccer).
ALPHABET | アルファベット(大文字) | (A) card, please. / Here you are.
This is for you. | 欲しいもの・形 | What do you want? / This is for you.
|What’s this? | 身の回りの物 | What’s this? / It’s (a melon).
|Who are you? | 動物クイズ | Who are you? / Are you a (dog)?

(文部科学省「小学校の新たな外国語教育における補助教材の検証及び新教材の開発に関する検討委員会」資料より)

テーマはすべて、子どもの生活に身近なもので構成されており、「覚えなければならない」というプレッシャーではなく、ゲームや歌を通じて楽しく慣れ親しむことが前提となっています。

 

「聞く・話す」中心の授業:具体的な活動例

3・4年生の外国語活動では、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」の3領域**に絞って指導が行われます(読む・書くは5年生から)。

 

聞く活動

・身近な話題に関する短い話を聞いて、おおよその内容をつかむ
・色・食べ物・動物などの語句を聞いて、絵やカードと結びつける
・アルファベットの読み方を聞いて、該当する文字を見つける

学習指導要領解説では、「おおよその内容が分かる」ことを目標とし、全部正確に聞き取れなくてよい**ことが明示されています。英語への抵抗感をなくすため、ゆっくりはっきりした音声で行うよう指示されています。

 

話す活動(やり取り)

・クラスの友達や先生と挨拶を交わす
・自分の好きなものを動作を交えながら伝え合う
・簡単な質問(”Do you like blue?” など)をしたり答えたりする

ALT(外国語指導助手)や学級担任と一緒に活動することで、リアルなコミュニケーション体験が積まれます。

 

話す活動(発表)

・身の回りの物について、実物や写真を見せながら話す
・自分の好きなものを友達に紹介する

「人前で話す」経験を通じて、自己表現の楽しさを体感します。難しい表現を暗記させるのではなく、慣れ親しんだ語句を使って表現することが重視されています。

 

英語の「文字」はどう扱うか?

3年生の英語授業でよく保護者が気になるのが「文字(アルファベット)はいつから教えるの?」という点です。

学習指導要領では、3・4年生の「聞くこと」の目標として次が定められています。

文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする。

つまり、3年生では、文字を「書く」ことは求めず、「音を聞いて文字を識別する」レベルにとどまります。

文科省の解説では、アルファベットを一気に全部覚えさせたり、順番通りに暗記させたりするのではなく、「身の回りにアルファベットの文字がたくさんあることに気付かせるなど、楽しみながら文字に慣れ親しんでいくように、文字を扱うことが重要」と明記されています。

 

5・6年生(外国語科)へのつながり

3・4年生の外国語活動は、5・6年生の「外国語(教科)」へと段階的につながっています。

・ 3・4年生 | 外国語活動 | 聞く・話す(やり取り)・話す(発表) | コミュニケーションを図る「素地」の育成
・5・6年生 | 外国語(教科) | 上記+読む・書く | コミュニケーションを図る「基礎」の育成
・中学生 | 外国語(教科) | 5領域すべて(統合) | コミュニケーションを図る「資質・能力」の育成

文部科学省は、小学校での英語学習が「英語嫌い」ではなく「英語好き・英語に前向きな中学生」を育てることに直結するとし、指導の連続性を強く意識した構成となっています。

 

保護者が知っておくべきポイント

 

「正確さ」より「伝えようとする気持ち」が大切

学習指導要領解説では、「英語を使おうとする意欲や態度を認め、賞賛し、支援を行う」よう指導者に求めています。発音が多少違っても、間違えても、**「伝えようとした」こと自体を褒めるのが文科省の方針です。

 

家庭での英語教育との違いを意識しよう

学校の外国語活動はテストで点数を競う場ではなく、コミュニケーション体験の場です。英語塾や英会話教室とは目的が異なります。授業で何を体験してきたか、どんな表現を使ったかを聞いてみるのが良いでしょう。

 

ALTとの授業が貴重な体験

担任の先生だけでなく、英語を母語とするALTとの授業は、子どもにとってリアルな英語体験の場です。最初は戸惑う子もいますが、繰り返しの中で「英語って通じる!」という達成感が生まれます。

 

文化への気づきも学習の一部

文科省の方針では、日本と外国の「生活・習慣・行事の違い」を知り、多様な考え方があることに気付くことも外国語活動の大切な目標とされています。英語を「言語ツール」としてだけでなく、世界への窓として捉える視点が育まれます。

 

 参考資料

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」(2019年)

文部科学省「外国語教育について」

小学校3年生外国語活動?年間指導計画例〔素案〕

文部科学省「新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について」

英会話スクールに子供を通わせる前に検討することと注意点について詳しく解説

一覧へ戻る

ショップガイド