
子供を英会話教室に通わせても意味がないのでは?、週1回くらい英語を習っただけで、本当に英語が話せるようになるの?・・・・子供の英会話について調べていると、「意味ない」「効果がない」という意見に出くわします。
しかし、子供の英会話そのものに意味がないわけではありません。
週1回だけの英会話レッスンだけで「英語がペラペラになる」「自然に英語を話せるようになる」と期待してしまうことに問題があります。
英語を身につけるには、教室で英語を学ぶ時間だけでなく、家庭などで英語を聞いたり、読んだり、話したりする機会を増やすことが重要です。
子供の英会話が「意味ない」と言われる理由と英会話教室を無駄にしないための家庭での英語学習や、子供が英語を好きになるための考え方について考えていきます。
子供の英会話が「意味ない」と言われるのはなぜ?
- 「子供の英会話は意味がない」と言われる理由は次のような原因があります。
英語に触れる時間が少ない
英会話教室に通うだけで話せると思っている
子供本人が英語を楽しめていない
レッスンの目的が曖昧になっている
家庭で英語を使う機会がほとんどない
英会話教室そのものが無意味なのではなく、週1回だけのレッスンだけですべてを身につけようとすることに無理があると考えたほうがよいでしょう。
週1回の英会話だけでは英語に触れる時間が少ない
子供向け英会話教室では、週1回、30分~1時間程度のレッスンが一般的です。
例えば、1回50分のレッスンを週1回受けた場合、1年間で英語に触れる時間は単純計算で約43時間です。もちろん、43時間でも英語に触れる経験には意味がありますが、それだけで英語がペラペラになることを期待するのは問題です。
言語を身につけるためには、長期間にわたって英語を聞いたり、読んだり、使ったりする必要があります。
子供の言語習得については、英語に触れる時間や実際に英語を使う機会が言語能力と関係することを示す研究があります。
Cambridge University Pressが掲載している研究では、英語とスペイン語のバイリンガル児童を対象に、英語への接触開始時期だけでなく、現在のインプット・アウトプットの量と英語能力との関係が検討されています。
研究では、子供がそれぞれの言語を「聞き、使う時間と機会」が言語能力に関係することが示されています。
(参照元)
Lisa M. Bedore, Elizabeth D. Pena, Zenzi M. Griffin, J. Gregory Hixon (2016)
“Effects of Age of English Exposure, Current Input/Output, and grade on bilingual language performance”
Journal of Child Language, Volume 43, Issue 3, pp. 687~706.
また、10~12歳のオランダ語話者の子供を対象とした研究では、学校外で英語に触れる機会が、英語の語彙知識に関係していることが報告されています。研究者は、教室での学習を補うために、学校外での英語への接触が重要になる可能性を指摘しています。
(参照元)
Vanessa De Wilde, Marc Brysbaert, June Eyckmans (2020)
“Learning English through out-of-school exposure: Which levels of language proficiency are attained and which types of input are important?”
Bilingualism: Language and Cognition, Volume 23, Issue 1, pp. 171?185.
このことからも、英会話教室に通っている時間=子供の英語学習時間と考えないことが重要です。
小さい頃から英語を習えばペラペラになるは誤解
子供の英会話でありがちな期待が、小さいうちから英語を習わせれば、自然に英語がペラペラになるというものですが、確かに、幼児期から英語に触れることにはメリットがあります。
British Councilも、幼い子供は遊びや活動を通して英語を学び、日常生活の中に英語を取り入れる時間を作りやすいことを、幼児期の英語学習の利点として紹介しています。
(参照元)
British Council – LearnEnglish Kids
“How young children learn English as another language”
しかし、早く始めることと短期間で英語を話せるようになることは同じではありません。
例えば3歳から英会話を始めても、週1回のレッスン以外ではほとんど英語を聞かない生活なら、英語に触れる総量は限られます。
英会話教室以外に、英語の歌を聞いたり、英語の絵本を見たり、英語のアニメを見たり、英語の音声を聞く機会があったり、親子で簡単な英語を使う、オンライン英会話を利用するなど、毎日の生活に英語を取り入れれば、英語に触れる機会を大きく増やせます。
何歳から始めるかだけでなく、始めた後にどのくらい英語に触れるかが重要です。
子供本人が英語を嫌がるなら、無理に続ける必要はない
子供本人の気持ちも重要です。親が、将来必要だから、小さいうちから英語をやらせたいと考えていても、子供が毎回嫌がっているのであれば、学習を継続すること自体が難しくなります。
特に幼児の場合、英語を「勉強」として強く意識させるよりも、遊びや歌、絵本などを通して自然に触れさせるほうが取り組みやすいでしょう。
British Councilも、家庭での英語学習について、長時間まとめて勉強させるより、短時間の英語活動を定期的に行い、歌・物語・ゲームなど変化をつける方法を紹介しています。幼児の場合は10~15分程度の短いセッションも推奨されています。
「英語をやらせる」のではなく、「英語で遊ぶ時間を作る」くらいの感覚から始めるのも一つの方法です。
文部科学省も小学校から外国語教育を実施している
日本の学校教育でも、英語を含む外国語教育は重要な位置付けになっています。
文部科学省は、小学校の外国語活動・外国語科について、授業事例や指導に関する情報を公開しています。現在の小学校教育では、外国語活動や外国語科を通じて、英語を「知識として覚える」だけでなく、実際のコミュニケーションにつなげることが重視されています。
また、文部科学省は公立中学校・高等学校などを対象に「英語教育実施状況調査」を毎年実施し、児童生徒の英語力や英語による言語活動、ICTの活用などについて調査しています。
日本の英語教育においても、英語を単に暗記するだけではなく、実際に英語を使う機会を作ることが重視されています。
家庭で英語に触れる機会を増やすことは、学校や英会話教室での学習を補う意味でも役立つでしょう。
「英会話教室+家庭学習」という組み合わせが現実的
子供の英語学習を考えるとき、英会話教室に行かせるか、行かせないかという二択で考える必要はありません。
むしろ、英会話教室=英語を使う場所、家庭学習=英語に触れる時間を増やす場所と考えると、それぞれの役割が分かりやすくなります。
例えば、英会話教室で先生と英語を使った後、自宅で同じ単語やフレーズを聞いたり、英語の絵本を読んだりすれば、教室で習った内容にもう一度触れることができます。
英語の語彙学習についても、研究では単語との接触頻度が学習に関係することが示されています。第二言語の語彙学習では、同じ単語に複数回出会うことが重要な要素の一つとされています。
「英語をペラペラにする」より「英語を好きにする」
幼児や小学校低学年の子供の場合、英会話を始める目的を少し変えてみるのもおすすめです。
「1年後には英語をペラペラにする」という目標ではなく、英語の音に慣れる、英語を聞くことを嫌がらない、英語の歌を楽しむ、外国の文化に興味を持つ、英語で簡単な受け答えができる、「英語って面白い」と感じることを目標にしてはいかがでしょうか。
このような経験を積み重ねておけば、学校で本格的に英語を学ぶようになったときにも、英語に対する心理的なハードルを下げられる可能性があります。




