過熱する小学生の英検受験ブーム!低年齢化が進む理由、保護者が知っておきたい注意点

小学生のうちから英検を受験して、4級、3級、さらには準2級以上を目指す子どもたちが注目されています。英語教育の早期化や中学受験での英語資格の活用などを背景に、小学生の英検受験は保護者の関心を集めています。

公益財団法人 日本英語検定協会が公表するデータを見ると、「小学校以下」の英検関連試験の志願者数は、2021年度の約46.1万人から2024年度には約54.8万人へと増加しましたが、2025年度は約51.7万人となっていて受験者が増え続けているわけではありません。

なぜ小学生の英検受験が注目されているのでしょうか・・・英検を早く取得することには、どのようなメリットがあり、どんな点に注意すべきなのでしょうか。

文部科学省の英語教育に関する資料や日本英語検定協会の公表データをもとに小学生の英検受験ブームの実態と、子どもの成長に合った英語学習について解説します。

 

小学生の英検受験は本当に増えている?公式データから検証

 

2021年度から2024年度にかけて志願者数が増加

小学生の英検受験の広がりを確認するうえで参考になるのが、日本英語検定協会が公表している「受験の状況」です。

同協会の資料によると、「小学校以下」の志願者数は次のように推移しています。

年度 : 小学校以下の志願者数
2021年度 : 461,154人
2022年度 : 524,833人
2023年度 : 551,604人
2024年度 : 547,536人
2025年度 : 516,844人

出典:公益財団法人 日本英語検定協会「受験の状況」

2021年度から2024年度にかけて、志願者数は約46.1万人から約54.8万人へと増加しました。2024年度は2021年度と比較して約18.7%多くなっています。

ただし、2025年度は約51.7万人となり、前年度を下回っています。最近の傾向は「小学生の英検受験が広がってきた一方で、直近では志願者数が減少した年度もある」ということになります。

なお、この統計の「小学校以下」には、小学生だけでなく、未就学児なども含まれます。また、実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr.の志願者数を合算したものであり、実用英語技能検定だけの受験者数や、重複のない子どもの人数を示したものではありません。

それでも、英検関連試験に挑戦する小学校以下の子どもたちが、年間50万人を超える規模になっていることは確かです。

(参照資料)日本英語検定協会「受験の状況」

 

なぜ小学生の英検受験?

志願者数の推移だけで、受験ブームの原因と考えることはできませんが、小学校の英語教育の変化や、中学受験での英語資格の活用などが、保護者の関心を高める背景として考えられます。

英語を学び始める時期が早くなれば、学校の授業以外でも英語力を伸ばしたいと考える家庭が出てくるのは自然なことです。

私は、英語教育・英語学習はできるだけ早くしたほうがよいという観念(雰囲気)がこのブームを後押ししてるように思ってます。言葉は、できるだけ早い方が効果が高いという潜在的な思い込みがあるように思います。

また、英検は合格という明確な目標があるため、学習の進み具合を確認したり、次の目標を設定したりする際にも活用できます。

ただし、受験する子どもが増えているからといって、すべての小学生が早期に英検を取得する必要があるわけではありません。

英検協会では、背景に小学校での外国語の教科化によって学習の到達目標がはっきりしたことがあると考えられるとしています。

文部科学省の資料でも、小学3・4年生で外国語活動、5・6年生で教科化という現在の仕組みとなっており、学校で英語に触れる機会が増え、「次は検定で力を確かめてみよう」と考えるご家庭が増えたのは自然な流れといえます。

また、英検協会のデータではCEFRでA1(英検3級相当)やA2(準2級相当)に到達する児童が増え、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能がいずれも上向きとされています。単なる「受験者数の増加」だけでなく、英語力そのものの伸びも報告されています。

 

小学校の英語教育はどう変わった?文部科学省の方針

 

小学3・4年生では外国語活動、5・6年生では英語が教科に

小学生の英語学習を考えるうえで、押さえておきたいのが文部科学省による学習指導要領の改訂があります。

2020年度から、小学校では英語教育の内容が大きく変わりました。

小学3・4年生:外国語活動
小学5・6年生:外国語が教科として実施

小学3・4年生の外国語活動では、英語を聞いたり話したりする活動などを通して、外国語に慣れ親しむことが重視されています。

小学5・6年生では、英語が教科となり、聞くこと・読むこと・話すこと・書くことを通して、英語によるコミュニケーションの基礎を育てることが目指されています。

このように、現在の小学生は学校の授業でも英語を学ぶ機会があります。英語に触れる年齢が早くなったことは、英検を目標の一つとして考える家庭が増える背景の一つといえるでしょう。

ただし、学校の英語教育と英検は、目的や評価の方法が同じではありません。学校では、英語を使ったコミュニケーションや言語活動を通して学ぶことが重視されます。一方、英検は、定められた試験によって英語力を測定する検定試験です。

英検の合格を目指すことだけでなく、学校の授業や日常生活の中で英語を使う経験も大切にしたいところです。

(参照資料)文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」

 

英語教育の目標は、英検の合格だけではない

文部科学省の学習指導要領では、外国語によるコミュニケーションを図るための資質・能力を育てることが重視されています。

たとえば、英語で簡単なあいさつをする、相手の話を聞いて理解する、自分の好きなものを伝えるといった経験も、子どもの英語学習において意味のあるものです。

英検の問題を解く練習は、語彙や文法、読解、リスニングなどの力を伸ばす機会になりますが、試験対策だけに偏ると、実際に英語を使う楽しさや、自分の言葉で伝える経験が不足する可能性もあります。

小学生の英語学習では、検定試験への挑戦と、英語を使って楽しむ経験の両方を大切にしたいものです。

 

英検6級・7級は「導入延期」に

小学生の保護者の方が知っておきたいのが、英検6級・7級の動きです。

英検協会は2025年11月、英検に新たに6級・7級を導入すると発表しました。導入は2026年度第3回検定からの予定で、5級より基礎的なレベルに位置づけられ、小学校中学年から高学年の英語学習に対応するとされていましたが2026年7月31日、英検協会は導入の延期を発表しました。新たな導入時期は、次期学習指導要領に係る審議動向などを踏まえて検討するとのことです。

次期学習指導要領については、小学校では2030年度から新しい指導要領に基づく学習が始まる予定と報じられています。小学生向けの級の設計は、この審議と深く関わっています。すこし気味の情勢も気になる雰囲気が生まれていることも確かです。

 

小学生が英検を受験するメリット

 

目標ができ、学習を続けるきっかけになる

小学生にとって、英語の勉強を続けることは簡単ではありません。特に、英語を使う機会が学校や家庭に限られている場合、何を目指して学習すればよいのか分からなくなることもあります。

英検には複数の級があり、子どもの英語力に応じて目標を設定できます。

「まずは英検5級に挑戦する」「次は4級を目指す」といった目標があると、単語を覚えたり、リスニングの練習をしたりする目的が明確になります。

ただし、目標は必ずしも検定試験である必要はありません。英語の絵本を読めるようになる、英語の歌を聞き取れるようになるなど、子ども自身が興味を持てる目標でもよいでしょう。

 

自分の得意分野や苦手分野を確認できる

日本英語検定協会は、英検の成績表に英検CSEスコアや技能別のスコアを記載し、受験者が自分の英語力を把握できるようにしています。

試験の結果を振り返ることで、リスニングは得意でも、単語や文章を読むことには苦手意識があるなど、学習の課題を見つけるきっかけになります。

合格したかどうかだけでなく、どのような力が身につき、今後どの部分を伸ばしていけばよいのかを確認することが大切です。

(参照資料)日本英語検定協会「英検について」

 

中学受験などで活用できる場合がある

英検を受験する理由の一つとして、中学受験での活用を考える家庭もあります。

私立中学校などでは、学校によって英語入試を実施したり、英語資格を出願条件や評価の材料として活用したりする場合があります。

ただし、英検を取得すれば、どの中学校でも必ず有利になるわけではありません。英語資格の取り扱いは学校ごとに異なり、対象となる級や出願条件、加点の有無なども一律ではありません。

中学受験を見据えて英検を受験する場合は、志望校の公式募集要項や入試案内を確認し、取得した資格が実際にどのように扱われるのかを調べておきましょう。

また、英検対策に時間をかけることで、国語や算数などの学習時間が不足してしまっては本末転倒です。受験に活用する場合でも、家庭全体の学習計画の中でバランスを考える必要があります。

 

小学生で英検何級を目指す?年齢だけで決めないことが大切

 

英検5級は中学初級程度、4級は中学中級程度

日本英語検定協会は、各級の目安を公表しています。

級:日本英語検定協会が示す目安
英検5級 : 中学初級程度
英検4級 : 中学中級程度
英検3級 : 中学卒業程度
英検準2級 : 高校中級程度

出典:日本英語検定協会「各級の目安」

この表からも分かるように、英検は小学生向けの試験だけで構成されているわけではありません。小学生であっても、学習経験や英語力によっては、上の級を目指すことができますが、小学1年生だから5級、小学6年生だから3級というように、学年だけで適切な級が決まるわけではありません。

英語学習を始めたばかりの子どもと、幼児期から英語に触れてきた子どもでは、身についている語彙や聞き取りの力などに違いがあります。

初めて受験する場合は、公式サイトの各級の目安や過去問を確認し、無理なく学習を進められる級を選ぶことが大切です。

(参照資料)日本英語検定協会「各級の目安」

 

小学生で準2級や3級に合格する必要はある?

小学生の英検取得について調べていると、早い時期に3級や準2級などに合格した子どもの話を目にすることがあります。

そうした実績は、英語学習の一つの成果として評価できるでしょうが、それを見て「うちの子も同じ学年までに合格しなければ」と焦る必要はありません。

子どもの英語力は、学習を始めた時期、学習時間、家庭や学校での英語環境などによって異なります。

また、同じ級に合格していても、英語を使った経験や、得意とする技能が同じとは限りません。

大切なのは、ほかの子どもと比較することではなく、本人が以前よりも英語を理解できるようになったか、学習を前向きに続けられているかを確認することです。

英検の級は、子どもの英語力を考えるための一つの目安です。取得した級だけで、将来の英語力が決まるわけではありません。

 

小学生の英検受験が過熱しすぎるとどうなる?

 

合格すること自体が目的になってしまう

英検には合格という明確な目標があります。そのため、学習の成果が分かりやすい一方、いつの間にか「英語を身につけること」よりも「次の級に合格すること」が優先されてしまう場合があります。

たとえば、単語や問題の解き方を繰り返し覚えていても、本人が英語を使うことに興味を持てなくなってしまったら、長期的な学習という観点では見直しが必要かもしれません。

もちろん、試験対策を通して語彙や読解力などを身につけることには意味があります。ただし、小学生のうちは、英語を学ぶこと自体への興味を育てることも大切です。

合格したときには結果を喜びつつ、日々の学習でできるようになったことも認めてあげましょう。

 

不合格が英語嫌いにつながらないようにする

英検に挑戦すれば、必ず合格するとは限りません。勉強をしても、思うような結果が出ないこともあります。

そのときに、保護者が結果だけを見て叱ったり、ほかの子どもと比較したりすると、子どもが英語学習に苦手意識を持ってしまう可能性があります。

不合格だった場合には、結果だけで判断せず、どの部分ができていたのか、次に何を勉強すればよいのかを一緒に確認してみましょう。

子ども自身が「もう一度挑戦したい」と思えることが、次の学習につながります。

また、受験そのものに強い負担を感じている場合は、すぐに再受験を目指すのではなく、しばらく試験から離れて英語の歌や絵本などを楽しむ時間をつくる方法もあります。

 

ほかの教科や遊びの時間とのバランスを考える

小学生には、英語以外にも学ぶべきことがたくさんあります。国語や算数などの基礎学力を身につけることはもちろん、友達と遊んだり、好きなことに取り組んだりする時間も大切です。

英検対策のために長時間の勉強が必要になり、睡眠時間や遊びの時間が削られている場合は、学習計画を見直すことをおすすめします。

早く上の級に合格することだけが、英語学習の成果ではありません。子どもの生活全体を見ながら、無理なく続けられる学習方法を選びましょう。

 

英検協会も小学校段階の英語学習を支援している

 

英検ESGは小学校の英語学習を支えるプログラム

日本英語検定協会は、一般的な英検のほかに、小学校の英語教育を支援する「英検ESG」というプログラムを提供しています。

英検ESGは、2021年に開発された、小学校英語教育の指導改善や学習到達状況の確認を支援するためのプログラムです。

英検協会の統合報告書では、小学校での英語教育の教科化に伴い、英語学習を開始する年齢が下がっていることや、小学生の英検志願者が増加していることを背景として、初学者向けの英検4級・5級や英検ESGなどの取り組みを紹介しています。

ここで注目したいのは、英語学習を始めたばかりの子どもにとって、必ずしも難しい級への合格だけが目標ではないということです。

小学校段階で学んだ英語を振り返り、何ができるようになったのかを確認することも、学習を続けるうえで意味があります。

英検ESGなどの仕組みも参考にしながら、子どもの現在の学習段階に合った目標を考えてみてはいかがでしょうか。

(参照資料)日本英語検定協会「統合報告書2025」

 

英検6級・7級の新設予定と、その後の変更にも注目

日本英語検定協会は2025年11月、2026年度第3回検定から英検6級・7級を新設する予定を発表しました。発表時には、6級を小学校高学年から中学校入門期、7級を小学校中学年の英語学習に対応させる構想が示されていました。

しかし、2026年7月31日、同協会は6級・7級の導入延期を発表しています。次期学習指導要領に関する審議動向などを踏まえ、導入時期を改めて検討するという内容です。

そのため、2026年10月時点では、6級・7級の実施開始時期が確定したものとして受験計画を立てることはできません。今後の最新情報は、日本英語検定協会の公式発表で確認しましょう。

新しい級の設置が検討されたこと自体、小学校段階の英語学習や、初期段階の学習成果を測る方法が注目されていることを示す動きといえます。

ただし、新しい級ができることと、すべての小学生が早期に受験すべきことは別の話です。制度の変化を参考にしながらも、子どもに合った学習ペースを大切にしましょう。

(参照資料)日本英語検定協会「英検6級・7級お知らせ一覧」

 

小学生の英検受験で保護者が意識したい3つのポイント

 

子ども自身が受験に納得しているか

英検を受けるきっかけは、保護者の勧めでも構いませんが、学習を続けるためには、子ども自身が目標を理解し、納得していることが大切です。

「次の級に合格しなければならない」と一方的に決めるのではなく、「英語でできることを増やすために挑戦してみよう」と話し合ってみましょう。

 

合格だけでなく、学習の過程も評価する

英検の結果は分かりやすい指標ですが、それだけが英語力のすべてではありません。

英語の文章を以前より読めるようになった、英語の音声を聞き取れるようになった、自分から英語を話そうとするようになったなど、日々の成長にも目を向けてみてください。

合格していなくても、学習を通して身についたことはあります。反対に、合格した場合でも、理解が不十分な部分があれば復習することが大切です。

 

試験対策と英語を楽しむ経験を両立する

英検対策に加えて、英語の絵本を読んだり、英語の歌を聞いたり、簡単な英会話を楽しんだりする時間もつくってみましょう。

子どもが興味を持つテーマを英語で楽しめれば、英語は試験のためだけの勉強ではなく、自分の世界を広げるための道具にもなります。

英検を学習の目標として活用しながら、英語に触れること自体を楽しめる環境をつくることが、長く学び続けるための土台になります。

 

参考資料・公式サイト

公益財団法人 日本英語検定協会「受験の状況」
年度別の志願者数を確認できる資料です。

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」
小学校の外国語活動・外国語科の目標や内容を確認するための資料です。

公益財団法人 日本英語検定協会「各級の目安」
各級の推奨目安や、求められる英語力を確認できます。

公益財団法人 日本英語検定協会「英検について」
英検の特徴や成績表、英検CSEスコアについての案内です。

公益財団法人 日本英語検定協会「統合報告書2025」
小学校英語教育や英検ESGなどの取り組みを確認できます。

公益財団法人 日本英語検定協会「英検6級・7級お知らせ一覧」
6級・7級の導入延期など、最新の公式発表を確認できます。

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